変わりゆく未来 第2話

 突然、カバンから何やら音が流れた。これは、着信音?確かにスマホからだった。が、どうやって出ればいいのかわからない。あたふたしていたら、切れてしまった。誰からだったのか?すぐさま着信音が。無理だ。どうやって取ればいいのかわからない。どこか指が触れたのか、声が聞こえた。さっきの中学生だ。
「もしもし、家についた?」
「いや、まださっきの駅のベンチ。」
「マジかよ。」
「自分の名前がタケダということがわかった。下のなまえはヒロシでいいのかな?」
「マジで言ってんの?」
「本当にマジだ。」
「わかった。そこにおれ!」
 どうやら、彼は来てくれるらしい。あたりは暗くなってきた。

 しばらくして、彼は来てくれた。
「マジかよ。」
「うん。」
「タケダヒロシだよ。家まで送ってってやるよ。オレ、福田良治。いつもブゥって呼んでいるだろ?ブゥでいいよ。」
「わかった。ありがとう。」
「全然、思い出せないのか?それって、マジ、記憶喪失ってやつか?」
「どうやらそのようだ。なにも分からない。私は、いや、オレのこと、知ってること、全部教えてくれ。」
 ブゥは、小学校からの幼馴染みで、家もそう遠くないらしい。私もブゥも特に運動部に所属しておらず、帰宅部ということだ。あ、中学2年だ。

 私の家族構成は、両親と妹が1人いるとのこと。その妹はお兄ちゃん大好きみたいで、かなりウザっていたようだ。母親は割と温和な感じで、ブゥにはいつも優しいらしい。父親はよくわからないみたいだ。とにかく、いろいろ話を聞いているうちに、家の前に着いてしまった。なんか、あっという間のような気がした。明日また、ブゥと待合せして、学校にくことにした。とにかく、味方が一人できたのは、心強かった。

 さて、いよいよ、家だ。確かに「武田」と書いてある。いつも、どうやって帰っているのだろうか?なかなか、家に入れずにいると、
「あら、おかえり。何してるの?」
 可愛らしい感じの女性が声を掛けてきた。買い物袋を下げているところを見ると、どうやら、母親のようだ。待て、待て、自分はもう元の自分ではないのだ。中学生なのだ。確かに恋愛はしてこなかったが、母親に恋心なんて持ってはいけない。

「あ、ただいま。」
「さ、さ、入って、入って。」
「ユミ、お兄ちゃん帰ってきたわよ。」
「はーい。」
 ドドドドっと二階から、けたたましく降りてきたのは、例の妹のようだ。
「おかえり~い、遅かったね。」
「すぐご飯だから着替えてきてね。」
「はーい。」
 妹もなかなか可愛い子だ。二階に上がると、確か右の部屋だったよな?
「そこ、私の部屋。お兄ちゃんの部屋はあっち。」
「あ、ごめん、間違えた。」
「ふつー、間違えないでしょう?」

 ようやく、自分の部屋に到着した。が、困った。いつも、家にいるときは、どんな服を着ているんだろうか?でも、その問題はすぐに解決した。ベットにたたんでおいてあった。それを着ることにした。
「ご飯よ~。降りてらっしゃい。」
「はーい。」
 と、妹も返事したのがシンクロした。と、いきなり、妹は部屋に入ってきて、
「ご飯、ご飯、いこ!」
「わかった。」
「ん?なんか変。」
ぎょ?何か間違えたか?
「いつものお兄ちゃんと違う。そこは勝手に入ってくるな!じゃないの?でもいいや。優しいほうがいい。」

 妹は小学校6年。一緒に1階の食卓へ。
「あら、めずらしいわね。一緒に降りてくるなんて。」
「そうでしょ、お兄ちゃん、今日はなんか優しいの。」
そうなのか!いつもは、もっとツッケンドンな感じなのか!でも、仕方がない。どうも調子が狂う。でも、こんな感じの家族なら、なんとかなるような気がした。本当のコイツには悪いが。

 夕ご飯は割と日本食ぽくて、美味しかった。こんなん、一人では絶対に食べれない。ほとんど、コンビニ弁当や、出来合えのおかずだったからね。
「おかあさん、おいしいね。ありがとう!」
思わず、言ってしまった。とたん、二人ともきょとんとした。
「どうしたの?そんなこと言ってくれるなんて。でも、うれしいわ、ありがとう!」
「でしょ、今日のお兄ちゃん、なんか、優しい感じじゃない?」
「本当にそうね。」
母親はうれしそうだった。
「そんなことないよ。いつもと同じだよ。」
「いーや、違う。絶対に違う。すっごく、優しい感じに変わった!」

 この中学生はいったいどんなんだったんだ?でも、よく考えれば、反抗期ということかもしれない。まあ、普通だよね。でも、遠の昔に過ごした中学生時代になったからといって、反抗期を発生することはないと思う。

「やっぱり、お兄ちゃん変!スマホ持ってきてない。」
「あら、本当ね。いつもスマホばっかりして、全然ご飯食べないもんね。」
「そうそう。すっごく、食べるの遅い!」
 いまどきの中学生はそんなものなのか?
「食事のときくらい、食事に集中すべきだと思うけど。」
 しまった!よからぬことを口走ってしまった。でも、後の祭りだ。
「え~、お兄ちゃんがそんなこと言うなんて、やっぱり、変!!!」
「ほんとね。でも、いいんじゃない?」
「怪しい!!!絶対何かある!!!」


(つづく)

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