変わりゆく未来 第35話

「さあ、どうする?今晩、付き合ってくれたら、懲戒免職はないよう計らってあげるけど。」
「わかりました。でしたら、今から労基署に行ってきます。」
「なっ?なんだと。」
「今のことを労基署ですべて話してきます。でわ。」
「ち、ちょっと、待ちたまえ。」
部長は顔を真っ赤にして、叫んだ。でも、もう私の気持ちは固まった。

「知美、いまから労基署にいってくる。」
「えっ?なんで?」
「部長が、夜の接待したら、許してやるって。」
私が大きな声で言ったので、別室から出てきた部長にも聞こえたようだ。
さすがに女子社員全員、部長へ視線を注いだ。
「ひどい。」

「青木君、誤解だよ。誤解。」
何を言っても無駄だ。私は、その時の恐怖の感情もすべてぶちまけてくるつもりだ。
「青木君、ほんとうに君の勘違いだ。そんなふうに受け取ったのなら、謝る。申し訳ない。」
私は、知美を見た。知美は許してあげたらって顔をしてたんで、そうすることにした。
「分かりました。私の勘違いのようですので、取りやめ致します。」
「すまなかったね。」
部長は結構怖い目で私をにらんでいた。こういう人はあとで何をしてくるか分からない。私はちょっと恐怖を覚えた。

 お昼休みは、知美たちと一緒に近くの食堂へ行った。
「ちょっと、千鶴子、すごいじゃない。あの部長相手にやったわね。」
「ほんと、すっきりだわ。」
みんなからは称賛されたけど、私は気が重かった。こんなトラブルが続きそうな気がした。
午後からは適当に仕事をこなした。そんなに難しくない。よかった。帰りは私の事情を知っているメンバー3人が集まって、居酒屋へ。

「もう大丈夫なの?」
「心配かけてごめんね。もう大丈夫。」
「からだの調子はどう?」
どう?って、何?
「堕したのよ。」
知美は小声で言った。えっ、そうなのか?
「今のところ、大丈夫。」
「そう、よかったね。」
「ありがとう。」

 びっくりした。そんなこともしてたんだ。まあ、これからはそんなこともなくなるし、からだを大事にしなくっちゃ。
「でも、同じ会社だし、また、顔を合わすんじゃない?」
えっ、そうなの?知美、端折り過ぎ。
「ほんと、気をつけないと、また、ひどい目に合わされるかもよ。」
「ありがとう。気をつけるわ。」
「千鶴子は、すぐ男にだまされるんだから、ほんと、気を付けてね。」
「わかった。用心する。」
帰りに知美が、すまなそうにこう言った。
「ごめん、今日は家まで送ってあげられないから、気を付けてね。」

 なんで、そんなにみんなに言われるのだろう。だけど、この子は細いから、そんなに力はない。男に掴まれると、逃げようがない。かなり、不安になってきたが、なんとか家まで帰ってこれた。ところが、玄関に誰かいる。

「遅いじゃん、待ってたんよ。」
誰?怖い。
「助けて。助けて~。」
大声で叫んだ。
「ちょ、え~?」
周りのドアが開いて、隣人の方が出てきた。私はいろいろ聞いていたから、震えが来ていた。

「大丈夫ですか?」
「変な人が、玄関に待ち伏せして。。。」
「ちょ、待って。オレだよ、オレ。」
「知らない。」
「警察を呼んで。痴漢だ。」
「え~?」



(つづく)

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