2021年02月07日

フリーライフ 第27話

 休みの日に、別の駅の広場でやってみようということで、ゲリラ・セッションすることにした。割と大きな駅前広場のある駅にした。着いてみると、何人かやっていた。ちょっとここじゃ邪魔になるということで、別の駅を探してみることにした。


 美佳からの提案で、大きな公園の広場にいくことになった。みんながシートを広げ、ピクニックを楽しんでいる。ここならということで、私たちもケースを開けて、準備を始めた。

「今日は、どんな曲からやろうか?」

「じゃぁ、あれから・・・」

ということで、美佳の好きな曲のオンパレードにすることにした。曲を演奏し始めると、シートの家族連れが、どんどんこちらへ移動してくる。すぐに回りがいっぱいになった。でも、みんなシートに座って行儀よく聞いてくれている。なんか、うれしいもんだ。数曲演奏したところで、ちょっと軽食休憩。


「あの、オリジナルとかあるんですか?」

突然、声を掛けられた。

「いえ、みんなコピーですよ。」

「とってもいい音色なんで、大好きです。応援してます。」

「ありがとうございます。」

そんなやりとりのあと、私は美佳にソロをお願いした。

「ええ~、私のソロ?それはないでしょ。」

「いいじゃん、やってみなよ。」

私は無理やり美佳にお願いした。困った顔をしてたけど、美佳の得意曲を演奏し始めた。実は、美佳の音色もだいぶ改善されていて、結構魅力的な感じになっていた。私は絶対、聞く人に受け入れられると思っていた。その曲が終わると、たくさんの拍手をもらった。はじめ、びっくりしていたが、やはり嬉しそうだった。今日は美佳メインで行こう。そう思った。そこから先は、美佳に頑張ってもらった。楽しい一日だった。


 家に帰って、スマホを見ていた美佳がびっくりしてた。

「すっご~い、今日の演奏、もうアップされてる~。」

「みんな早いね。」

「私の演奏、よかったってコメントあったぁ。」

そうだと思ったよ。彼女の音色もいい感じになってきているもんね。

「よかったじゃん。」

「智志さんにいろいろ教えてもらった成果がでたって感じ。」

「美佳の音、私は結構好きだよ。」

「ほんと?」

「だから、もっと人気でるんじゃない?」

「やったぁ~!」


 だが、SNSの闇は、いつ私たちに忍び寄ってくるかわからない。だいたい、光があれば闇もあるもんだ。私は、それなりに覚悟はしていた。妬むヤツも少なからずいるもんだ。


 ある日、美佳が会社から帰ってくると、なんか暗い。

「どうした?」

「うん・・・」

美佳は重たい口を開いた。

「帰りに駅前で、知らない女の人に、いい気になるなって。」

SNSでの悪口かと思ったら、リアルにきたか。

「あまり、気にすんなよ。単なる嫉妬だろ。」

「でも、なんか怖かった。」

そうだろうな、敵意ある人に言われた言葉は怖いものだ。

「じゃ、帰りの時間を教えてもらったら、駅まで迎えにいくよ。」

「ほんと?ありがとう。」

よかった、美佳に笑顔が戻った。まあ、日本の国民性なのか、こういうことは陰湿になってくる傾向があるから注意しないとな。


 いきなりだが、瑠璃の会社での演奏の日が近づいてきた。私たちは実家に行った。

「ただいま。」

「お帰り~、待ってたよ。」

「で、結局どこでやるの?」

「公立文化会館になったの。」

「へえ~、音響施設も整っているから、いいね。」

「でしょ、楽しみよ。」


 実は、瑠璃の会社の事業計画発表会で、最後に私たちが演奏することになっているのだ。いまや、瑠璃は社長なのだから、すごいものだ。

「明日は、何曲でも好きなだけやってね。」

「いいの?」

「大丈夫よ。兄さんも姉さんも頑張ってね。」

「姉さんって・・・」

美佳が戸惑っている。


 夕食後、両親は聞きたいというので、ちょっと演奏することにした。最近の美佳の演奏も聞いてほしかったので、ソロでやってもらった。

「美佳さん、腕上げたね。」

「ほんと、すごいじゃないの。」

「えへ。」

照れてやんの。


 そのあと、明日の話になった。私たちが瑠璃の、つまり社長の兄だということは、すでに結婚式以降かなり広まっているらしい。まあ、得に問題ないし、そのうち、社長の瑠璃とのコラボもできるかも知れないな。




(つづく)


posted by たけし at 12:00| 兵庫 ☁| Comment(0) | フリーライフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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