2021年11月27日

短編小説 「オッド・アイ」 第12話

 翌日、やっぱり、遅い朝、姉のマリアは、オレに抱き着いて寝てた。確かに暖かい・・・というより、暑いわ。夕方、マリアとオレは、一緒にバルへ向かった。歩いてすぐなはずだ。

「そこのあんた。」

オレは誰かに呼び止められた。

「ほっときなよ。」

マリアはそう言ったが、オレは気になった。

「オレか?」

「そう、あんただ。」

「レイ、行こうよ。」

「ちょっと、待って。」

「あんた、オッドアイだね。」

こんな遠いところからよくわかったな。

「それがなんだ?」

「で、おかしなこと、起こってないか?」

えっ、この人、知ってる?

「図星だね。すでに2回、経験してるね。なら、もうないよ。」

「ほんとうか。」

「ああ、今の生活を満喫しな。」

「レイったら、いくよ。」

「ありがとう。」


「何言われてたの?」

「なんでもない。」

「あれ、変な占い師。おかしなことばかり言うんだよね。」

「占い師か、なるほど。」

「無視が一番だよ。」

「わかった。」


 オレたちはバルについた。中に入ると、なんか懐かしい。こんな感じの店だった気がする。

「オラ・ケタール。マリア」

「オラ。」

「みんなに紹介するわ、私の弟のレイよ。」

「よろしくな。」

「マリアに弟なんかいたっけ?」

「あ、目の色、違う。」

「かっこいいだろ。」

「うんうん。」

だが、一人、オレを見てこういった子がいた。

「レイ、知ってる。」

「サラだよな。」

「えっ、なんで、あなたたち、知ってるの?」

サラがオレを覚えていたみたいだ。

「なんか、会ったことある。美味しい料理作ってもらった。」

そんなことまで?オレはそれには答えず、微笑んだ。

「あんたたち、いつの間に?」

マリアがいたずらっぽい顔をした。残念ながら、付き合ってませんよ。

「さあな。でも、サラに料理作った気がするな。」

「でしょ。」

「ほんとかよ。」

「やっぱり、あんたたち付き合ってたんじゃない?」

「どうかな。」

「まあ、いいやん。とりあえず、乾杯だ。」

そんなこんなで、あっという間にみんなと打ち解けた。


「じゃ、レイは大学卒業したら、こっちにくるのね。」

「そのつもりだよ。」

「オレたちも同じ時期に卒業だから、みんなで商売やらないか。」

「いいねぇ。」

「オレ、乗った。」

「私も入れてよ。」

この感覚、オレ、やっぱり、性に合ってる。こいつら、好きだわ。なんか、サラもオレに気がありそうだし、いい感じになれるかも。


 このあと、オレはディエゴとエロイの3人で、次のバルへ繰り出した。なんか、この感じも一度体験したような気がする。結構、楽しく過ごしたオレは、夜遅くに帰宅した。


 夏休みなんかあっという間だ。オレは一旦、日本へ帰った。次は卒業してから、帰るよとかあさんに言っておいたから、なんか安心して大学生活を満喫できそうだ。オレはまた、ルイーザさんの店でバイトを始めた。

「どうだった?バルセロナ。」

「楽しかったよ。オレに姉さんがいたんだ。」

「へえ~、そうなの。ご両親は?」

「みんな元気だった。」

「よかったねぇ。」

「ありがとう。」

「じゃ、卒業したら、スペインへ移り住むんだ。」

「うん、そのつもりだよ。」

「楽しんでね。」

「ありがとう。」

これで、問題なく卒業すれば、オレはバルセロナへ行くんだ。そう思っていたのだが、ややこしい連中のことを忘れていた。


「こんにちわ。あっ、上条クン、帰ってたんだ。」

「また、おまえらかよ。」

「そんな言い方ってないんじゃない。」

「はいはい、お客様、お好きなテーブルへどうぞ。」

「上条クンは就活しないのよね。」

「しないよ。」

「ほんとにスペインに永住するつもり?」

「ああ、そうだよ。」

「じゃあ、その前に私たちと付き合ってよ。」

「どういうことだよ。」

「いいから、付き合ってよね。」

まいったな。一体、何なんだよ。


 仕方ないんで、数日後、オレは彼女たちと居酒屋へいくことになった。いったい、どうしたいんだろう。

「もしかしたら、上条クン、もう知ってるかもしれないけど。」

「何も知らんよ。」

「私たち3人とも、上条クンが好きなの。」

「はぁ?」

「だから、あなたが誰を選んでも、覚悟ができてるから、ちゃんと言ってほしいの。」

まるで、見当違いだ。

「それじゃ、はっきり言わせてもらうけど、君たちは3人とも同級生以外の何者でもないから。ましてや、誰かと付き合うなんてこともないからね。」

「えっ、そうなの?」

おい、今までのオレの態度からわからなかったのか?

「だから、今まで通り、友達でいいでしょ?」

「がっくり。」

そんなことで呼び出したのか。変なヤツらだ。

「まあ、せっかく呼び出されたんだから、今日は付き合うけど、友だちだからね。」


 とにかく、彼女たちの関係も、これで問題なくなった。今まで通り、レッスンがしてほしいなら、してあげている。まあ、そこまでだな。オレはたまにバルセロナの姉とTV電話している。マリアって意外とシスコンなのかな。先日は、アルバイト先のルイーザとも話がしたいっていうから、お店で電話した。

「あ、ルイーザさん、いつも弟がお世話になってます。」

「マリアね、レイから伺っているわ。聞いている通り、可愛いのね。」

「レイったら、そんなこと言ってます?」

「レイに代わってもらえます?」

「はい、いいわよ。」

「なんだ?」

「レイ、久しぶり。」

そこに映ったのは、サラだった。

「あ、サラ、久しぶり、元気だった?」

「ええ、私はいつも通りよ。早く、レイに会いたいわ。」

「オレも早くバルセロナに行きたいよ。」

「あ~、暑いわね。」

「えっ、なになに、レイの彼女?」

「いえいえ、違いますよ。」

「何言ってるのよ、会いたいくせに。」

「まいったな。」




(つづく)



posted by たけし at 12:00| 兵庫 ☁| Comment(0) | オッド・アイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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