2021年12月27日

短編小説 「トラブル・アトラクター」 第27話

 翌日、オレはマリアに両親に会いにいくことを話し、実家へと向かった。

「ただいま。」

「あれ?ワタルか。どうした?」

「どうしたもなにも、1人息子の帰還だろうが。」

「前もって、連絡でもしてくれたらいいのに。おや、その人は?」

「マリア、オレの嫁はん。」

「へぇ?お父さん、大変だ。ワタルが嫁さん連れてきよった。」


 改めて、オレは両親を前に、マリアを紹介した。

「マリアです。ペルーから来ました。どうぞ、よろしくお願いします。」

「マリアは日本語話せるから、安心してな。」

「おまえ、どこで知り合ったんだ?」

「旅先で一緒になって、そのまま、嫁はんにした。マリアは警察官で、日本でも警察に就職する予定なんだ。」

「どうりで、立派なからだしとると思ったわ。」

「ワタルより、背が高いんとちゃうか?」

「ああ、オレより高い。」

「今日は泊まっていけるんか?」

「そのつもりだけど、いいんか?」

「なんにもないけど、ゆっくりしていけ。」

「ありがとう。」

「マリアさん、じゃ、手伝ってけろ。」

「はい、おかあさん。」

マリアはおふくろと庭先に出て行った。


「まあ、突然だけど、国際結婚になっちゃったよ。」

「いいんだな。」

「ああ、オレが決めたことだ。」

「おまえさえ、いいなら、こちらは何も問題ない。」

「ありがとう、親父。」

「で、ペルーで結婚式するんで、どうかな?」

「そんなところまで、いけるか。」

「そういうと思った。だから、ハイこれ。」

「なんだ?」

「これで、ペルーでの結婚式を見れるから。」

「そうなのか。」

「操作がわからなかったら、隣の健介に聞いたらいい。」

健介はオレの同級生で、ずっと、ここに住んでいる。と、いいタイミングで現れやがった。

「ワタル、久しぶりやん。」

「おお、健介、相変わらずだな。」

「ところで、庭におる外人は?」

「オレの嫁はんだ。」

「おめ~、外人と結婚したんか?」

「ああ。」

「すげーな。」

「でな、ペルーで結婚式すっから、これで中継をやってくんない?」

「ええで、まかせとけって。」


 まあ、そんなこんなで近所中の連中が集まってきた。当然、晩御飯時なんで、みんないろんなものを持ち寄ってきた。オレの実家は、すごい賑わいだ。マリアはペルーと一緒だと喜んでいる。

「ちゃんと、ワタルから紹介せんといけんわ。」

「わかったよ、マリアおいで。」

「おお。」

「ヒュー、ヒュー。」

「え~、オレの嫁さんを紹介します。マリアと言います。ペルーから来ました。」

「マリアです。よろしくお願いします。」

「マリアちゃん、よろしくね。」

「よろしく。」

マリアはみんなから、いろんな質問されても、笑顔で答えている。オレには耐えられんけどな。でも、ペルーでそうなることを覚悟しておかねば。

「マリアちゃん、座ってると、みんなと変わらないのに、立つと大きいのねぇ。」

足が長いってことだろ。それから、太い腕の話になった。警察官をしていて、トレーニングを欠かしたことがないからだと説明していた。それにもみんな、感心していた。


 宴も終わって、あと片付けも終わり、ようやく静かな時を迎えることができた。

「日本もペルーと同じで、楽しかった。」

「よかったな。」

「ワタルでよかった。」

両親の目の前で、オレに抱き着き、キスされた。

「あんれまあ、仲の良いことで。」

「こういうことは、外人なんで。」

「どうぞ、ごゆっくり。」

マリアは離してくれない。まあ、付き合うか。オレたちは自分たちの部屋に行き、長い夜を過ごした。





(つづく)


posted by たけし at 12:00| 兵庫 ☔| Comment(0) | トラブル・アトラクター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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