小説 「アレスグート」  第11話

 もうオレは、休日対応では報酬をもらわないことにした。すべて無料にした。ただし、休日の午前中だけ。それ以上はオレのプライベートがなくなってしまう。 最近は外国人も多くなった。言葉が分からなくたって問題ない。悪い個所をメモし、ホスピタルと言うと喜んで帰っていく。休日対応では基本的に治さない。自分の身を守るためだ。治せることがわかると、自分の生活が確保できなくなるからだ。 早いもので、オレは30にな…

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小説 「アレスグート」  第12話

 次の休みのお昼に、香織さんと食事に行った。やっぱり、雰囲気が恵美に似ている。話せば話すほど、恵美と重なる。なんか、涙がこぼれた。「大丈夫ですか?」「あ、いえ、大丈夫です。あまりに亡くなった妻に似ているので。」「奥さん・・」彼女は絶句していたようだ。彼女に恵美と結婚してすぐ事故で亡くなった話をした。「とても悲しい思いをしてたんですね。私、悪いことしちゃったかな?」「いや、そんなことないです。大丈…

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小説 「アレスグート」  第13話

 オレも香織も初めての海外旅行。英語もよくわからんが、なんとか香織が対応してくれる。ハワイは暑い。結構、豪華はホテルで豪華な旅行。香織はびっくりしていたが、まだこんなことができる事情を話してなかった。「いくら旅費は出してくれるって言ってたけど、これはやり過ぎじゃない?」「全然、大丈夫だよ。」「これからの生活、最初にこんなに使ったら、大変なんじゃない?」「だから、全然大丈夫だよ。」「どうしてなの?…

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小説 「アレスグート」  第14話

 家に着くと、香織は話を聞きたがって待っていた。オレもその人がどんな人なのかわからないし、死に直面する状態を治すだけだから、香織に話して聞かせた。「すごいね。ヒロシさんがいたら、ほんとに医者なんかいらないね。」「そんなことないさ。オレができることなんか限られている。」「でも脂肪がIPS細胞代わりなのね。ということは脂肪をどうにでもできるということ?」「ああ、そうさ。なんとでもなる。」「ということ…

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小説 「アレスグート」  第15話

 オレはこれからどうすればいいのだろう?愛する人は守れず、死なせてしまうし、このまま佐藤さんのいう通りにしていていいのだろうか?オレを襲ってくる連中はどういう連中なんだろうか? 少なくとも、人を殺すなんてことをする連中は決していい人たちとは思えない。だからと言って、佐藤さんたちはオレの知らないところで、同じようなことをしているかもしれない。オレがこんな性格だということを知って、その泥臭い部分を見…

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