小説 「アレスグート」  第16話

 日本より物価が安いこの町では、当分収入がなくても暮らしていけそうだ。ホテルからスーパーマーケットが近い。日本でおなじみの店もある。割と温暖でアップダウンもない平坦な地形のようだ。白い建物が多い印象だ。 だが、まったく言葉も知らないのに、大丈夫だろうか?なんてことは全然思わなかった。なんとかなるだろうって思った。町を歩くと信号がない。まあ、あんまり車が多くないのでなんとかなるのだろう。朝、晩はホ…

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小説 「アレスグート」  第17話

 オレたちは男の車の後について、その男の家に行った。彼の息子はベットの上で虫の息だった。おそらく、10歳くらいだろう。 その息子の手を握った。寄生虫?!その子の体の至る所に寄生虫がいた。いったい、どこから入り込んだんだろう。小さな虫なので、気が付かなかったんだろう。取りあえず、虫退治だ。ところがその虫は毒素を持っていた。やっつけると毒素がばらまかれる。そうすると、体力のないこの子は死んでしまうだ…

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小説 「アレスグート」  第18話

「あんたら、まだ何もしてないのかい?」「あいかわらず、ど直球やな。まあ、ぼちぼちお付き合いしてますよ。」「そんなプラトニックやったら、いつまでも続かんよ。はよ、することしとき。」「はい、はい、了解。」とまあ、日本語やったら、こんな感じかな。ハイケさんとのやり取りはいつもこんなもんだ。 シモンはオレの部屋を見たいと言って、オレのアパートに訪れた。まあ、何もない部屋だから殺風景だけどね。この部屋にあ…

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小説 「アレスグート」  第19話

 その日はたくさんの料理とたくさんの楽しい会話のあるいい日になった。翌日、また、市場のある町へと帰った。 その帰り道、シモンはどうしても気になっていたのだろう。「私にだけ、本当のことを教えて。絶対内緒にするから。」「わかったよ。実はオレの能力なんだ。」「能力?」「医者じゃないから、病気や怪我の名前まで知らないことが多いけど、なんでも治せてしまう能力さ。」「ほんとなの?」「現に君のアザも消えただろ…

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小説 「アレスグート」  第20話

「お願いだ。シモン、離れないでくれ。ここにいてくれ。」 オレは絶叫した。市場はその声に静まり返った。 シモンの手から温かみが感じ取れた。少しずつ元に戻っていく。彼女の意識も戻ってきてくれた。もう、大丈夫なのか?そう、感じたオレは意識を失った。 オレが気がついたのはベッドの上だった。最初に飛び込んできたのは、シモンの顔だった。良かった、助かったんだな。それから、カミラさんもハイケさんもいる。シモン…

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