小説 「よく眠れた朝には」 第16話

 そんなわけで、この世界で二人の味方ができた。あとは少しずつ、多恵にこの世界になじんでいってもらうこと、多恵をこの世界の人間にすべく、行政の届出等を行うこと、オレの両親に紹介し、分かってもらうことだ。 多恵はテレビを見て、かなりのことを理解していた。オレは文字を教えようと思っていたが、テレビを見て、かなりの文字を覚えてしまっていた。でも、基礎は必要かと思って、ひらがなやカタカナ、漢字、ローマ字等…

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小説 「よく眠れた朝には」 第17話

 ようやく多恵が落ち着いたところで、食事をしながら、兄貴たちにこの信じられない事情を話して聞かせた。時折、親父もお袋も口をはさんで、本当のことだと言ってくれる。だが、タイムスリップなんて映画やドラマのことだと思っている二人には、なかなか信じてもらえない。 でも、オレはそれはそれでもいいと思った。すでに両親にはわかってもらっている。兄貴もちょっと前まで彼女もいなかったオレに、今は妻がいるという不自…

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小説 「よく眠れた朝には」 第18話

 それからしばらく経ったある日、オレは先輩から誘いを受けた。「お客さんから高級レストランのコースの招待券を頂いたので、行かないか?奥さんもだよ。」「えっ、いいんですか?」「オレに彼女がおれば、よかったんだけど、いないからな。だから、おまえたちを招待してやる。オレも一緒だけどな。」「なんですか、それ。」「仕方がないやろ。3枚あんねん。」「わかりました。せっかくの誘いですから、行きますよ。」「いい先…

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小説 「よく眠れた朝には」 第19話

「・・・気をつけて、・・・地震・・・」また、あの声が聞こえた。三人とも聞こえていた。とりあえず、頭をザブトンで防御し、身をかがめた。そんなことに、どんな効果があるのかわからなかったけど。 いきなり、部屋が揺れた。オレはテレビをつけた。1分ほど、揺れたところで、速報が流れた。ここらへんは震度5だった。かなり、大きい気がした。揺れが終わって、落ち着いたオレたちは、例の声の話になった。「あの声はいった…

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小説 「よく眠れた朝には」 第20話

 もうその日から、以前のままに生活できた。オレたちにはなんの苦もないことだった。金銭の具合を見て、狩りにも出かけた。その狩りから帰ってきたら、多恵がこう言った。「旦那様、今日、罪人が引き回れておりました。どうも、見たことのある罪人だと思ったのですが、もしかすると、加藤様かもしれません。多分ですが、未来の衣服を着ていたような気がするんです。」「なんだって?先輩が?」「私の見間違いならいいんですが、…

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