フリーライフ 第1話

 私は、もともと会社勤めをしていたけれど、会社に黙って、ネットショップを副業としてはじめたことから、生き方が大きく変わってしまった。  初めは、本当にお小遣い程度の売上だったけれど、やりはじめて2年を過ぎた頃から、会社員としての給料より多く稼げるようになったので、一大決心で会社を辞めた。もう完全に、収入源はネットショップ一本にすることにしたのだ。  確かに安定した収入があるわけではないけど、…

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フリーライフ 第2話

 私はお昼前に家に帰った。「ただいま、帰りました。」「お帰りなさいませ。」「ちょうど、すべて終わったところですので、もしよければ、ご確認をお願いします。」「そうですか、わかりました。」私はリビングのテーブルに本を置き、彼女についていった。お掃除をお願いした箇所は完璧だ。私のように丸く掃くなんてことはないし、水回りの水垢もない。綺麗なもんだ。「すごいですね。」「いかがでしょうか?」「ありがとうござ…

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フリーライフ 第3話

「何か、ここに来たくない理由とかあるんですか?」「いえいえ、そんなことはありません。」「寿退社することになりまして・・・」「そうなんですか。もう会えないのであれば、私からおめでとうございますと伝言、よろしいですか?」「はい、伝えておきます。」そういうわけか。なんか淋しいなあ。でも、仕方ないことだよな。次の田中さんも話やすい人ならいいなあ。 「初めまして、クリーニングサービスの田中真理子と言いま…

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フリーライフ 第4話

 しかし、ひどい男もいるもんだ。自分の不満のはけ口なのか、弱い者をいじめる性格なのか、私にはわからないけど、旦那さんが変わるとは思えなかった。だが、2,3日して、彼女はうちに飛び込んできた。 「高木さん」「あれ、斎藤さん、いらっしゃい。」玄関のドアを閉めたとたん、へたりこんだ。「大丈夫?」スカートから見えた足には、青い痣があった。彼女の唇からは血が見えた。私は洗面台へ連れていき、絞ったタオルを…

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フリーライフ 第5話

 ある日、私はほとんど現金を持たないのだが、たまに現金をおろしてこようと、通帳を取り出そうとしたが、どういうわけだかそこになかった。この部屋を自由に出入りできる人物は、私と斎藤さんだけだ。一応、念のため防犯カメラを確認すると、斎藤さんが持ち出しているのが映っていた。なんで?  次の掃除の日、私は彼女に聞いてみた。「通帳、返してもらっていいですか?」彼女は急に青ざめ、ビクッとして、震えていた。「…

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